クワガタ・カブトムシのモザイク(雌雄同体)個体が生まれる理由
この記事では、クワガタ・カブトムシをはじめとした昆虫のモザイク(雌雄同体)個体が生まれる理由について、書籍で目にしたことについて記述させて頂きます。
はじめに
先日『カブトムシのツノの発生を解明』のニュースについて記事にさせて頂いたことがありました。
カブトムシが幼虫からサナギになる前の時期に、トランスフォーマーと呼ばれる遺伝子の働きを抑制し、観察したところ、オスだけでなく、メスにもツノが生えることが確認されたということで、トランスフォーマーがオスとメスを決める遺伝子であることを突き止めました。
ということでした。
それでこの時のブログ記事におきまして、何の専門的知識も有さない上勉強不足である私自身が、『いわゆるモザイク個体の発生要因がもしかしてこういったところにあるのでしょうか』という想像をわざわざ言及し無知を晒したのですが、たまたま後に読了した書籍でモザイクについても触れられていました。
実は上記記事を書いて間もなく読んだのですが、当記事作成はモタモタして後手後手になってしまいました。
内容的にもあくまで読んだことの受け売りであり、恥ずかしながら私の研究でも何でもありませんのでご了承頂ければ幸いです。
読んだ本
まず今回私が読了した本ですが、こちらの『昆虫の交尾は、味わい深い…。(岩波書店)』になります。
『おもしろそう、読んでみたい』と思った方、『もう読んだけど?』という方、さすがです。
その感覚は社会通念上普通ではありません(褒め言葉です)。
普通に考えたらかなりマニアックと言いますか、趣味性の高い本になろうかと思いますが、クワガタ・カブトムシをペアリングしてブリードしていますと、どうしても気になってくる分野の本ではあります。
もちろんクワガタやカブトムシのことだけについて書かれたものではございませんし、むしろ筆者の方が研究対象とされていた昆虫が中心になってくるのですが、前半は割に様々な昆虫について触れられていますし、他の昆虫についてのものでもクワガタ・カブトムシに通ずるのではという記述もあります。
昆虫のモザイク(雌雄同体)個体が生まれる理由
それで、この本でモザイク(雌雄同体)の話がちょっとだけ出てきました。
もっと専門的に詳しいことが書かれた本は、当然他にあろうかと思うのですが、私がモザイクについて書籍で目にしたのは初めてでした(調べようと思ったこともありませんでした)。
本のごく一部で触れられ一言で書かれていますので、私のような素人には『染色体XXとXYが…』と書かれているよりも読み解くことができました。
以下当該書籍から一部引用です。
体をめぐる性ホルモンによって性徴が決定される脊椎動物とは異なり、昆虫は染色体によって「細胞ごと」に性が決まっている珍しい生物なのだ。そのため、性転換が生じない代わりに、体の左右で雌雄がくっきりと分かれるのである。これは、受精卵から育つ途中で、ある細胞で性染色体が失われるようなエラーの結果、オス細胞とメス細胞が一個体の昆虫の体に混在している状態だ。もちろん、雌雄モザイクは通常不妊の奇形ではあるが、その珍しさから、きれいな標本は時に高値で取引されている。
本には挿絵もついていましたが、無断転載するわけにはいきませんので、私のイラストで対応してみることとさせて頂きますのでご了承頂ければ幸いです。
イラストにしてみる
私も曲がりなりにもブログを1年以上やっておりまして、自分がブログをやり出すと勉強の意味合いと、単に楽しませて頂く意味合いで他の方のブログを拝読するようになりました。
当然クワカブ飼育を主としておられるブログも多数読んではいますが、それ以外のブログも拝読しており、勝手ながらたまに当ブログでも触れさせて頂いています。
そんな中で、よく拝読しているブログの1つに『北野トマレ』さんという方の『ほうれい線上のアリア』というブログがあります。
内容も秀逸ですが、手書きイラストが非常に親しみやすいながら良いアクセントになっておりまして、読む者を飽きさせません。
話が逸れてしまったのですが、前記書籍ではモザイクの説明について挿絵が入っていましたが、無断転載するわけにはいきません。
そこで私も北野トマレさんばりにイラストを描いて対応してみたいと思います。
私は絵心や心得が何一つありませんので、今回限りになろうかと思います。
ちなみにイラストは、私が自宅でも会社でも愛用している『ぺんてる』社の『サインペン』で作成です。
それではイラストにさせて頂きます。
はい。
本当に失礼致しました。
ということでこのような解釈となるようです。
「心と身体が相違している」とかそういうわけではありません。
「細胞ごとに性が決まっている」とこういうことになるようです。
しかしそうなってきますとやはり疑問になりますのが、『モザイク個体に生殖能力はあるのか』ということになります。
よく『モザイクは生殖能力がない』ということを耳にする気がします。
しかしながら先程の『細胞ごとに性が決まっている』という考え方でいきますと、仮に身体のほとんどのベースが♀で、頭部やアゴ部等がオスという個体だった場合、受精・産卵する能力すらありそうに思えます。
私は勉強不足ですし、モザイク個体を飼育した経験もありませんので知識を有していないのですが(有していないのにこのような記事を書いてすみません)、こういった個体は書籍の記載にあるように、『通常不妊の奇形』ですので、遺伝して子孫にもモザイク個体が生まれるというわけでもなさそうに思います。
もし継承させることができてしまったらモザイクビジネスが生まれてしまいそうですね(そしてあっという間に値崩れしそうです)。
その他驚きの記述
クワガタをブリードする際に、
・ 複数の♂と交尾した場合、どの♂との子になるか
とか、
・ 一度交尾すれば一生産卵できる分受精する
とか、ペアリングについて色々な見解を目にすることがありまして、大変勉強になります。
今回の書籍で驚きましたのは、色々な昆虫の♂の方にも、自身の子孫を残すための様々な機能や習性があるということです。
例えば、
・ 先に交尾した♂の精子を掻き出すために生殖器がトゲトゲの形状になっている
・ 後から別の♂が交尾できないように「交尾後ガード」をする
・ 後から別の♂が交尾できないように分泌物で「栓」をする
等の昆虫がいるというものです。
クワガタのメイトガードにも、交尾をした♀が無事産卵に至るように安全を守っているという意味合いに加え、他の♂が後から交尾するのを防ぐ目的もあるのかもしれないと思いました。
ご興味がおありでしたら(あくまで褒め言葉ですが興味があったらアブノーマルだと思います)、お読みください。
生物の科学遺伝 Vol.72 No.4(201 特集:クワガタムシ/微生物vs.人類
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※内容はあくまでJBの主観になりますのでご了承いただければ幸いです。