結婚10周年の『バランス』と『USJ』【なぜゴジラとエヴァンゲリオンは戦うのか】
「ねぇ、しつこいようだけどUSJのことはどうする?」
子ども達が寝静まった頃、妻は無表情のまま僕に尋ねた。
いや、無表情である気がしただけで、妻の顔は彼女の右手に収まったスマートフォンに向けられていた。
幾度となく聞かれたことだったので、ただ無表情である気がしただけだった。
「行けばいいんじゃないかな。」
僕の返答も、幾度となく繰り返されたものだった。
言うまでもないが、僕は仕事があるし、子ども達だって学校がある。
家族揃っての旅行を前もって計画するとなると、専ら夏ということになる。
『夏、どこに行くか。』
多くの家庭がそうであるように、毎年この時期になると決まって持ち上がる問題だった。
「じゃあいつから行くの?」
妻はこちらを見ている。
こちらを推し量るような、あるいは訝しむような目で。
元々、家計を預かる僕と、そうでない妻とでは何につけても温度差があった。
USJは昨年も行っているのだ。
しかし、内心では行くことを決めていながら、「どうする?」と尋ねること自体にすでに矛盾がある妻の質問ー
これ以上なんと答えればいい?
「今年の『ゴジラ対エヴァンゲリオン』は子ども達もすごく行きたがっているんだから」
妻はあくまで子ども達の希望を叶えるためなのだと、静かに僕に迫った。
確かに子ども達はゴジラが好きで、アトラクションに期待を寄せていることは事実だった。
妻が子ども達のために発案していることも、また事実だった。
我が家の誰よりも、このアトラクションに期待を抱いていた。
しかし期待を抱くことと、僕の頭の中にあるいい加減な家計簿に、大きな文字で『マイナス◯万円』と朱書きすることは、同じベクトルのようでやはりちょっと別の問題なのだ。
それから僕達はいくつかの言葉を交わし、既定路線のUSJ行きは決まった。
実を言うと僕は、同じだけ旅費を支払うなら別のプランもあるのではないかと思っていたけど、どうやら思っているだけだったのがまずかったようだ。
妻はあたかも「本当にいいの?決断したのはあくまであなたよ?」という顔をしている。
“今年は見送る”という選択肢などはじめから用意されていなかったのに。
毎年のことながら、今年の熱の入れ様は圧倒されるものがあった。
しかし僕にとって驚くべきことがある。
いや、観たことがないことを責めたりなんかしない。
アトラクションは作品を観た人のためだけに作られているわけではないし、作品を観ずにアトラクションに乗る人なんてごまんといる。
僕だって『バックドラフト』を観たことがない。
観ていないことが問題なのでなく、その程度のものに対してこれだけ頑なに入れ込むことができることに、僕は驚きを禁じ得ないのだった。
ゴジラとエヴァ、両方のファンである僕が、「もし行けなかったとしたら、それは仕方がない」と思っているというのに。
妻がそのように、物事にいささか盲目的に感情移入することは珍しくない。
例えばプロ野球選手のイチローが引退を表明した時、彼女は引退会見を見て涙を流した。
そして僕も本心から彼の引退を残念がったが、そんな僕に妻は、「あら、以前は文句を言っていたくせに。日本人で彼のことを悪く言う人がいるなんて信じられないわ。」と僕を謗った。
僕は子どもの頃から巨人ファンである。
イチローのことは心からリスペクトしていたし、イチロー見たさにオリックス戦に足を運んだこともあったが、贔屓のチームがあれば他チームの選手に対してある種の敵意を向けることは当然である。
テレビに顔を向けたまま呆れ顔を作っている妻は、野球を観ないからその“賞賛とも言うべき敵意”がわからない。
それどころか、イチローがどこのチームでプレーしていたかなんて皆目知らないのだ!
そんな僕と妻は、間もなく10回目の結婚記念日を迎える。
これまでもそうだったし、僕達は死ぬまでこんな調子のようだ。
しかし、どうやらこれが僕達のバランスらしい。
もし妻が僕と同じ様な性格であったなら、僕達の人生はきっと保守的でつまらないものになっていただろう(逆に僕が妻のような性格だった場合のことは想像したくないが)。
僕は感謝しなければならないのだ。
映画も観たことがないのにアトラクションに入れ込み、碌に功績も知らない野球選手の引退に涙する妻に。
2019.6 JB
なぜゴジラとエヴァンゲリオンは戦うのか
いきなり申し訳ございませんでした。
今回記事で何をお伝えしたいかと申しますと、『なぜゴジラとエヴァンゲリオンは戦うのか』ということと、『いきなりですがUSJに行ってきます』ということです。
夏にUSJに行く計画をしていたはずが、急遽もう行くことになってしまったのです。
なぜゴジラとエヴァンゲリオンは戦うのか
うちの妻は不勉強ですので、なぜゴジラとエヴァが共演するのかということもよくわかっていません(それがきっかけでこの記事を書いたのですが)。
これはもう私如きが申し上げなくても世の周知の事実ですので、一言でご説明致しますと、『エヴァンゲリオンの作者である庵野秀明が、2016年にシン・ゴジラの監督をしたことがきっかけ』ということになります。
なるほどきっかけさえあって、話が通りさえすればコンテンツ的には鉄板です。
『ゴジラ対エヴァンゲリオン』自体は、『シン・ゴジラ』公開の際にいわゆるコラボイベント的に立ち上げられ、何人かのアーティストの方のイラストが公開されたり、いくらかのグッズが製作されたりしていました。
私自身もコンビニのおまけか何かで、ゴジラとエヴァ初号機が戦っているイラストが描かれたノートを手に入れた覚えがあります。
しかしUSJのクールジャパンに『VS』として登場するとまでは思っていませんでした。
今回の映像化に関しましては、下記サイトにその旨記載されています。
【※ネタバレ注意!…というほどではありませんがアトラクションの内容に関する言及があり「別にいいけどこれいちいち知らずに観たかったな〜…」という感じでしたのでご注意願います。】
以下問題のない部分についてのみ抜粋引用させて頂きます。
庵野秀明監督が両作で監督を務めたことから、「ゴジラ対エヴァンゲリオンというワードは、2016年の『シン・ゴジラ』のときに生まれました」と、エヴァの版権を管理するグラウンドワークスの佐竹寛さんはいう。「当時は、キーワードを軸に自由にイラストやアートを描いていただくという企画。ファンの間では、『実際に戦ったらどうなんだろう。ぜひ映像で観てみたい』という声もあった」というが、東宝の吉川哲矢さんは、「映像化は非常に難易度が高いと理解しており、映像化しない方向で話は進んでいた」と明かす。
その後、USJからオファーを受け、「一度お断りしたんですけど、何度も熱いオファーをいただいた。今年でゴジラが誕生して65周年、『ユニバーサル・クールジャパン』が5周年、そして2020年にエヴァ劇場版の新作公開と、すごくいいタイミング。弊社内も説得して実現することに。誰でもワクワクするようなプロジェクトを実施できるのはうれしい」と吉川さんも喜ぶ。
エヴァの版権や権利、及びその範囲などについてですが、私は知識を持ち合わせていません。
一ファンとして作品さえ楽しめればそれでいいと思っているのですが、ごく簡単に記載しますと、
↓
2006年カラー設立
2007年ガイナックス退社
↓
著作権者表記は、
TV版「GAINAX/Project Eva.・テレビ東京」
カラー設立後「GAINAX・カラー」又は「GAINAX・カラー/Project Eva.」
2014年末頃から「カラー」又は「カラー/Project Eva.」
となっている
ということのようです。
一方ゴジラに関しましては、言うまでもなく東宝が生んだ世界に誇る怪獣です。
東宝が当時庵野秀明・樋口真嗣のタッグにゴジラを任せたというのはすごいことですし、英断でしたね。
私は平成ゴジラシリーズのファン
ゴジラ映画は1954年から製作されています。
日本版実写映画だけで数えますと劇場版は『シン・ゴジラ』で29作ということになるようです。
ゴジラ映画はその年代によってシリーズが大別されているのですが、私はその中でとりわけ『平成ゴジラシリーズ(VSシリーズ)』のファンです。
平成シリーズは、
『ゴジラvsビオランテ』1989年
『ゴジラvsキングギドラ』1991年
『ゴジラvsモスラ』1992年
『ゴジラvsメカゴジラ』1993年
『ゴジラvsスペースゴジラ』1994年
が該当するとされています。
こうして並べると毎年公開されていたんですね。
私としましてはどの作品も甲乙つけがたいですが、やはり初めて劇場で観ました『ゴジラvsビオランテ』が1番思い出深いです(批評は冗長になりますので今回控えさせて頂きます)。
まだ自分自身小さな子どもでしたが、衝撃を受けたことだけはよく覚えています。
その後これまでに平成ゴジラシリーズ以降の作品も観ました。
平成シリーズ以前の作品も全部ではないにしろほとんど観たと思います。
又、シンゴジラを観た後でも、(子どもが観ることもあって)平成シリーズは一通り観返しましたが、やはり特撮ならではの良さがあるなと感じます。
この写真は私が所有しているフィギュアですが、この度確認しましたら足の裏に『1992』と書いてありました。
今見てもカッコいいフォルムです。
という感じで、趣味が浅く広い私は、ゴジラに関してもこのようなところで、つまり単なるファンということになります。
私はエヴァンゲリオンのファンでもある
続いて私にとってのエヴァンゲリオンについてです。
まず、エヴァに搭乗するためには14歳でなければならないところ、我々はTV放映時、正にその年代だったわけです。
TV版の放映時期等につきましては、
1995年〜1996年
全26話
ということです。
劇場版は、
『シト新生』1997年
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』2007年
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』2009年
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』2012年
となっています。
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劇場版の中で私が思い出深いのは、なんと言っても『Air/まごころを、君に』です。
内容についての批評は冗長になりますのでこちらも控えさせて頂きますが、私が劇場鑑賞した映画の中で、立ち見をしたのは後にも先にもこの映画だけです。
なお、新劇場版の(おそらく)完結編として『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が公開予定です。
この記事を書いていまして、『Q』公開から7年も経過していることに衝撃を覚えました。
庵野秀明監督は『Q』を製作後、鬱同様の状態になったとご自身で仰っていましたが、『シン・ゴジラ』製作後は大丈夫でしょうか。
なお、趣味が浅く広い私はエヴァに関しましてもこのようなところで、つまり単なるファンになります。
ゴジラ対エヴァンゲリオン・ザ・リアル4-Dーユニバーサルクールジャパン2019
さて、今回急なUSJ行きが決まった大きな要因の1つはこれです。
なお、今季のユニバーサルクールジャパンは下記のとおりです。
1月18日(金)~6月23日(日)
サマー・ターム『進撃の巨人/美少女戦士セーラームーン/ゴジラ対エヴァンゲリオン』
5月31日(金)~8月25日(日)
日程をご覧頂くとお分かりになられると思うのですが、5/31(金)〜6/23(日)の間はスプリング・タームとサマー・タームが被っているんですね。
本気でアトラクションを回ろうと思ったらエクスプレスパスも購入せずにいられませんし、本当にうまい商売ですね。
我が家もまんまとこれに嵌ることになります。
ゴジラとエヴァが共演することの衝撃
最後になりますが、やはりゴジラとエヴァが共演するというのは衝撃です。
それぞれのコアなファンの方々がどうお感じになられるのかはわかりませんが、それぞれがコンテンツとして活気があること自体は、やはり歓迎すべきことなのではないかと思います。
私個人としましては、やはり楽しみでありますし、ことエヴァンゲリオンにつきましては、かつてセガサターン版の『スーパーロボット大戦F』にエヴァ初参戦がアナウンスされて以来の衝撃でした。
とにもかくにも、USJに行って参ります。