黒法師と僕【アエオニウム:黒い植物とシティーハンターへの憧れ】
植物といえば当然グリーンを連想するのですが、様々な色合いのものが存在し、中には黒を基調とした植物もあります。
黒い植物への憧れ
私もやはり私なりに、アガベだとかパキポディウムだとかを愛でているのですが、一方でなんだか“黒い植物”にやけに憧れてしまう時があるのです。
我が家ですと、『ビルベルギア・ダースベイダー(Billbergia 'Darth vader')』などがそうです。
黒い植物って何気になんだか珍しいですし、美しく、それでいて格好良いです。
私がなんとなく黒い植物に憧れを抱いてしまうのは、おそらくシティーハンターのこのエピソードだと思うのです。
シティーハンターに登場する「黒いチューリップ」
それは、「シティーハンター第8巻」に収録されている、「心に咲いたチューリップの巻」です。
キャッツアイを彷彿とさせる(キャッツアイも北条司先生ですから)キャラクター「麻生かすみ」登場の回です。
超ざっくりあらすじを申し上げますと、かすみから依頼を受けた冴羽獠は、かすみと一緒に、悪役の泥棒から開花前のチューリップを盗むのですが、この球根の元々の持ち主は、「黒いチューリップ」を作り出すため研究を重ねてこの球根を作り出した老人でした。実は、その老人には死期が迫っており、かすみは老人に花の色、つまり研究の成果を見せるため、盗まれた球根を獠に依頼してまで盗み返していたのでした。
しかし、盗み返したチューリップが開花すると、なんとそのチューリップは黒くなかったのです。それでもそのチューリップを持って病床の老人のもとへ駆けつけたところ、老人はすでに視力を失っていて…
(引用:シティーハンター第8巻「心に咲いたチューリップの巻」)
感動です。
そして、この時に私の中で謎の「黒い植物へのちょっとした憧れ」が生じてしまったと思うのです。
黒法師(アエオニウム)との出会い
その後、初めて黒法師のことを知ったのは、とある多肉植物関連書籍でした。
黒法師を真上から撮影した写真を見て心を奪われました。
私の脳裏に「黒いチューリップ」が蘇ったのでした。
また、「黒い」「法師」という和名がなんとも厳かではありませんか。
それからというもの、園芸店に行けば黒法師を探すようになりました。
いや、探さなくても園芸店でもホムセンでもネットでもすぐに見つかる普及種なのですが、ごく小さい株だったり、あるいは大き過ぎて私のイメージと合わなかったりしたのです。
それでもある日、ついに購入を決意する黒法師に出会いました。
わかります、何の変哲もない、普通のポット売りです。
でもどこか私のイメージと合っていました。
冴羽獠に一歩近付いた気がしました。
いや、それは言い過ぎでした。
そこまでは思いませんでした。
黒法師(アエオニウム)を育てる
購入した黒法師は、即時ミニラン鉢に植え替えました。
ポットのままがあんまりだという思いもあったのですが、私は季節を問わず、我慢できずに即日植え替えということが度々あります。
この後、夏を迎え黒法師はぐったりします。
黒法師は「冬型」なのだそうです。
ただ、完全に落葉するわけではなく、葉がついたまま垂れ下がるという感じでした。
いかにも良くなさそうでしたので、夏場は室内に取り込んでいました。
10月頃、涼しくなってくるといつの間にか復活していました。
私は極力穏やかな日を選んで外に出しました。
黒法師の「黒さ」をキープするためには、よく日光に当てる必要があるのです。
屋内に置いている間は、この黒さが失われるのではないかと心配していました。
ここからの葉っぱの増え方と言ったら、普段アガベだとかパキポディウムだとかを見て「全然動いてない…」とか思っている身としましては気持ちが良いほどの勢いです。
この辺りの時などは、「まさにイメージしていた感じになってくれたなー」と一定の満足感を得ていました。
しかし、その後も成長は止まりません。
厳冬期こそ成長は緩慢になりましたが、葉は増え続けます。
立派になっていくことを嬉しく思う一方で、段々と私のイメージを超越していきました。
いや、世の黒法師はもっと立派であることは重々承知しているのですが、私にとっての(あくまで私にとっての)、「黒いチューリップ」と掛け離れてしまったのです。
でも本当は、最初からそんなことはわかっていました。
「黒い黒法師」は黒法師であって「黒いチューリップ」ではないのです。
なお、最近やっと暖かくなりつつあるところですが、氷点下まで下がらない限りは屋外で越冬してもらいました。
それでも特に調子を崩したことはありませんでした。
現在も成長し続けてくれています。
おそらく暑くなるまでもう少し成長してくれるでしょう。
私の中で「黒いチューリップ」を超越した黒法師には、まだまだ期待しています。
※内容はあくまでJBの主観になりますのでご了承いただければ幸いです。